ミスコンに参加する人は頭が悪いとか、賢い美人はありえないなんて誰が決めたの?そんなのは偏見にすぎないと見せつけるように、ミスコンで科学実験をして優勝した女性のお話。


ミスコンといえば、出場者が楽器を弾いたり、歌ったり踊ったりするイメージが浮かぶと思います。しかし、今年の6月に行われたミス・バージニアの出場者のなかに特別な女性がいました。科学実験をするのが趣味な彼女は、ステージで過酸化水素を分解し、カラフルな泡の噴水を作りました。

彼女の名前は、カミール・シュライアー(Camille Schrier)。バージニア・コモンウェルス大学薬学部の学生であり、ミス・バージニアでもあります。

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「小さい頃から科学が大好きな女の子でした」。彼女はミスコンの自己PRでこう言いました。そしてゴーグルと手袋をつけ、白衣を着て、反応の激しい過酸化水素の分解によって、カラフルな泡の噴水を作りました。(もちろん、この実験をやってみたい人に、彼女はうちでは絶対やらないでと注意しました。この動画で満足してくださいね。)

Insiderの記事によると、彼女はミス・バージニアに選ばれて以来、女性のSTEM(科学、テクノロジー、工学、数学の略語で、理学領域を指す)への進出を促進する1人として、「ミス・バージニア」という肩書で、医薬品の安全使用、薬物乱用の防止を広めるプロジェクトを行っています。

現在、博士の学位をとることに励んでいる彼女は、今年の9月にバージニア州の代表として、ミス・アメリカに出ます。カミールの母校も彼女のミスコンにおいての動画をシェアしました。彼女の次の目標は、「ミス・アメリカ」と「薬学博士」の2つです。

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「賢くてきれい」はありえない?そんなことはない

綺麗さと賢さは、身体と頭の二項対立であるわけではありません。ミスコンに出る人はみんな「頭の悪い」美人だと、多くの人がそうからかえば、「頭のいい女の子」はオシャレしないと決めつけます。

ミスコンの優勝者であるカミーラは、その2つは対立したものではないと考えています。「ミスコンでの自己PRといえば、ピアノや歌を歌うことを思い浮かべると思いますが、これもステレオタイプの1つです」と彼女は言いました。

「制限を打ち破り、ミスコンにおける自己PRのステレオタイプに挑む人になりたいのです。この枠からはみ出したいと願い、そうすることに成功しました。("As someone who is breaking the boundaries and breaking stereotypes for what talent looks like at Miss America, I wanted to be a little out of the box, and it really worked out.“)

ミスコンの自己PRに関する世間のイメージは、これまでかなり限定的に捉えられてきました。たとえば、歌を歌う、踊る、楽器を演奏するといった「女性の才能」を披露することが、審査員に好感を与えるだろうという考えです。しかし、自分の専門をアピールすれば、たとえそれが「女性らしさ」に欠けていたとしても、優勝することができるということを、カミールが教えてくれました。

みんなと一緒でなくてもいい あなた自身も大切だ

もちろん、誰もが美しく賢くなれるわけではありませんが、カミールの経験から、やってみればステレオタイプはなくせるということが分かります。

2017年のミス・ペルーでは、スリーサイズを公開する代わりに、性的暴行に遭った被害者の名前を読みあげた出場者がいました。2019年、アメリカの3大ミスコンの優勝者は全員、アフリカ系アメリカ人です。美しさの基準は、人種から、美貌、知性まで、常に変化しています。

ミスコンに優勝できるかどうかにかかわらず、カミールは自分なりのやり方で、目に見えない壁に挑んでいることに変わりはありません。ミスコンの優勝者になるために、歌わなくてもいいのです。自分の好きなことをしっかりとやっていけば、あなたの望んでいた最高の自分になれるはずです。

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[1]爆発バブル噴水(Exploding Foam Fountain):三角形ビーカーに濃度35%の過酸化水素を入れて、色素と水で割ったシャボン玉液も加えます。そしてゴーグルと手袋をつけて、広いところでよう化カリウムを触媒として入れます。噴水のスピードはとても速いので、入れるときは、体と顔を近づけないように気を付けてください。