こうすればよかった、自分は本当にダメだな、嫌われたらどうしよう、と嘆きながら人生は難しいと思ったりしますか?それなら人生をシンプルにしてくれるアドラー心理学を見てみましょう。


どうして一年経っても心残りを抱き、何年経ってもあの頃の純粋さを懐かしんでいるのでしょうか。戸惑ったり、世の中に捻じ曲げられず信念を突き通してきた自分に感謝しています。今年は、ルールにとらわれない姿勢をもっと見せなくてはいけません。もっと挑戦、冒険をしてみてください。アドラー心理学を学べば、あなたはもっと素敵な自分に出会わなくてもよくなります。本当の自分を見つけ出せればそれでいいのです。なぜなら、あなたは今のままで十分素敵だからです。

近年、アドラー心理学が広く知られるようになってきました。実はデール・カーネギーやリチャード・カールソンなど、暮らしの中でよく見聞きする近代心理学者の著書には、アドラー学説の影響が随所に見られます。アドラー心理学は一種の学問というより、常識に近い存在になっています。純粋な心理学を語らず、対人関係を論じます。アドラー心理学の本を読み通したら、世の中は思ったより単純だということに気づくでしょう。私たちは、スッキリした心で世界と向き合わなければなりません。ここでは 、シンプルで純粋な自分を取り戻すための5つのメソッドを紹介します。

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1. 過ぎた過去ではなく、これからの未来に目を向けよう!

「一般的な人生の意味はない。人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ。」

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アドラーは目的論を提唱し、現状を変えることよりも、人間はいつも原因究明に目を向けてしまう、と考えていました。過去の原因を探しても、理想の自分に近づけません。別れた恋人に未練を残したり、若い頃の夢を諦めたことを後悔したりするのは、あまりにも消極的です。どこから来たのかより、どこに向かっているのかが重要です。アドラー心理学の観点で言うと、「因果」という考え方自体が間違っています。人は感情に支配されたり、突き動かされたりするわけではなく、ある目的を達成するために感情を利用するのです。

しかし、私たちはいつも因果律のせいにして、ある目的を達成するために自分の感情を利用しています。今年こそ、感情に任せた決断を避け、自分で人生の主導権を握って管理してみましょう。平気で人を傷つけたり、決めたことを安易にあきらめたりすることをやめましょう。もう自分の感情に支配されないでください。あなた自身が、あなたの感情の主人なのですから。

2. あなたは特別にならなくていい。今のままで十分素敵だ!

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アドラー心理学では、「優越コンプレックス」も「劣等コンプレックス」も病的な状態と捉えられています。人は「他人より優れている自分」を求め続けていますが、他人に認められたい欲が湧くこともよくあります。わざと自分の存在をアピールし人よりも目立とうとしたり、「非凡」な行動で人を喜ばせようとします。しかし一方、楽しく生きられるかは他人次第になってしまいます。なんでもかんでも認められたい人は、自分が人より劣ると思っているわけではなく、「平凡である自分」に甘んじたくないのです。

常に注目の的になる必要はありません。拍手喝采はいずれ止まるものです。評価してくれた観客もいずれは去るものです。幕が下りた後に、舞台の下で自分のいいところを評価してみましょう。自分の観客第1号になりましょう。あなたは唯一無二の存在ですから「特別」にならなくてもいいのです。

3. 嫌われることを受け入れ、自由に生きる人生

「二人を愛そうとすることは、事実上、どちらも愛していないことである」

—アドラー

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敵がいない人生は危険です。それはあなたがいつも周りに合わせてばかりいる証です。嫌われたくない、好かれたいあなたは、みんなに気に入ってもらえるかもしれません。しかし結局のところ、あなたは自分のことが嫌いになってしまいます。人にどう思われているかを気にしすぎると、「行動」出来なくなってしまいます。他者がどう思うか、どう考えるかは他者の課題です。あなたはそういうことで頭を悩ます必要がありません。

世の中に完璧な自由は存在しません。自由には責任が伴うものなのです。私たちはみんな生まれた時から自由ですが、後天的に学んだ規則やルールにとらわれ、「自分はルールの中で生きている」と思い込んでいます。「自分は不自由だ」と思っていても、実は自分に制限をかけているだけのことが多いです。自由は無制限ではありません。自由には生きる軌跡が伴うものです。岸見一郎氏は《アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために》で鳥の例を挙げて説明しています。鳥は気流を読めるから飛べます。一見妨げになるような気流は、鳥が空を飛ぶのに必要な力なのです。

4. 我々は、他者の期待を満たすために生きているのではない。他者は、あなたの期待を満たすために生きているのではない

私の問題は自分のものだ。

―アドラー

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大小の違いはあっても、人はみんなそれぞれ違うのです。私たちは、「人と違う」ということで焦りやすく、その違いに立ちいってしまうこともあります。そもそも、ものごとが正しいかどうかは相対的で、大事なのは、問題解決に着手する前に、「これは誰の課題なのか?」を明確にすることです。「最終的に責任を取るのが誰なのか」という視点から考えると分かりやすいと思います。一方、友達の悩み相談に乗るときは、アドバイスするよりも相手の話に耳を傾けるべきです。

友だちを他人扱いするわけではありません。個人の人生課題において、親しい関係を持つ人が傍観者としてできる最善のことは、過度な干渉をせずそっと見守ることです。寄り添いの力は、想像よりもはるかに強いです。あなたの介入によって、相手の今までの努力が台無しになってしまう場合も多々あります。聞き上手になって、相手が優雅に浮き沈みするのを静かに眺めましょう。

5. 上を目指すのではなく、前に向かって進む

アドラーの心理学では、縦の人間関係が健康を損なう原因だと考えられています。縦の人間関係とは、非難や賞賛、上から下への判断、権力がある人とない人、といった関係です。彼は人の優劣をつけない「横の関係」を主張し、「それぞれの人が、それぞれの人生を歩んでいる。ただ、それだけのことなのです」と述べていました。

上司や部下、親や子どもというのは、あくまでも役割です。みんなで権利を切り分けるわけではなく、それぞれの役割を担い、並行して良い方向に向かって努力して、共通の目標を成就するのが目的です。人生という名の道で、先に進んでいる人もいれば、遅れている人もいます。足が速い人もいれば、遅い人もいます。私たちは競争によって目的を達成していかなくてはいけないわけではありません。どこに向かっていくのか。速いか遅いか。すべて自分が選んだ結果です。自分が上に向かってのぼっていることを勝ち負けで証明すべきではありません。「前に進む力」を持つべきです。

他者との対等な関係の中で、自分が優れていることを誇示しなくても、自分を証明しなくてもいいです。あなたは自分を認めることと同じように、一人ひとりが特別であることを尊重し理解します。足が速い人は、孤独や陽気を楽しめます。足が遅い人は、窮屈や悠々自適を楽しめます。人の人生を羨む必要はありません。あなたにも自分にしか生きられない自分の人生があるのです。

この5つのメソッドは、自分への5つの贈り物です。自分と向き合う時間をもう少し作って、自分は完璧でないことを理解し、自分と異なる他者の行動を受け入れましょう。心理学を使って何かの目的を果たすのをやめ、心理学を通して、自分の核となる心と向き合っていくのです。自分の課題に目を向け、自分の責任を自分でとる自由を学びましょう。