展覧会を見て回ると、男性デザイナーの作品のほうが多いという気がしませんか?それは、デザイン業界は女性にはまだやさしくないからです。


デザインの歴史を振り返ってみると、女性デザイナーが直面してきた困難は、2019年の現在も存在していることがわかります。今日のデザイン業界にも、賃金格差とガラスの天井といった問題が存在し、女性にはやさしくありません。

デザイン学科の女子学生は70%、女性アートディレクターはわずか11%

大学から男女の人数の差がつくテクノロジー業界と違って、グラフィックデザイン分野では常に、男子学生よりも女子学生の方が多いです。しかしリーダーとなると、男性の場合がほとんどです。たとえば、デザイン分野の教授も男性が多数派です。

イギリスのデザインウェブサイト Creative Blog によると、イギリスでは、毎年、デザイン学科の卒業生の70%が女性ですが、職場に入ると、女性デザイナーは40%に減ります。そしてグラフィックデザインのディレクターになると、女性は11%にさらに減ります。

写真|Unsplash

軽んじられる職場貢献:女性デザイナーはどこへ?

多くの女性従業員は、影響力のある有力者グループから外されるだけでなく、賃金格差も大きいです。イギリスの有名な会計事務所 SJD 会計事務所は、デザイン産業では、女性デザイナーの賃金は男性の75%しかないという深刻な賃金格差があることを指摘しました。

女性デザイナーの成果は、ここ30年でようやく認められてきました。1920年に設立された米国グラフィック・デザイン協会(AIGA)は毎年、その年のもっとも重要なデザイナーに賞を与えますが、1959年にようやく、メイ・マッシー(May Massee)が初めての女性デザイナーとして受賞しました。多くの女性はこうしたデザインの賞を受賞できず、デザイン協会にも入れませんでしたが、ここ30年、女性がようやく殿堂入りして、受賞するようになりました。

私たちができることは?

以上のことから、女性デザイナーが認められ、話題になることはとても大事です。それを叶えるため、私たちにできることはあるのでしょうか?それは、次の3つです。

1.新しいコミュニケーション戦略を考案する

女性デザイナーを売り込むときには、包摂的な言葉を用いて、多様性に富んだ作品を選択することを勧めてみましょう。私たちはみな、社会が女性や男性に開いていくのを受動的に見守るのではなく、社会の変革に加わったとという実感を感じたいものです。女性のほかに、さまざまなジェンダー・マイノリティも取り入れるべきです。雇う側にとっても、異なるジェンダーと人種の人を採用することで、多様性に満ちたコンテンツを作ることができます。

2.女性デザイナーはもっとコミュニティーで声を上げよう

女性のコミュニティーへの参加とネットワーキングを促進することによって、知名度を高めることができます。女性は競わないように育てられてきましたので、たとえ受賞して、作品を発表したとしても、知名度を上げにくいのです。

たとえ困難にあっていて、今までの経験を話すチャンスがあったとしても、「女性としての」苦しみを話しづらい、話したくないこともあります。ようやくここまで来たのに、自分の苦しみを言い出せば、この業界にふさわしくないと思われ、自分の発言のせいで今までの努力が水の泡になるのではないかと心配します。

女性デザイナーがコミュニティーに参加し、互いの力になり合えば、発言する機会を得て、多くの人に1人じゃないと安心させることができます。

3.女性デザイナーをもっとフォローしよう

消費者として、女性デザイナーにもっと目を向けましょう。彼女たちのすぐれた作品を知り、彼女たちの名前を覚えるにつれて、あなた自身の造詣も深まります。同時に、彼女たちの知名度も上げることができます。

女性にとってグラフィックデザインの道は険しいものです。より多くの女性デザイナーが活躍できる日が来ますように!